弊社で人財育成のコンサルティングを、
お引き受けするときには現状を把握するために、
経営層、中間管理職、一般社員と、
ヒアリングを実施してます。
これまでお話を聞かせていただいた企業様では、
熱く自社のビジョンやこれからを語られる経営(者)層は、
すくなくありません。
特に創業社長は、ある程度、経営が安定してきたら、
次の事業の拡大を目指して、
『あたらしい事業に取り組もう』
あるいは、
『職場を(よりよく)こんな環境に整えていこう』
『よい会社にしていこう』
と熱く組織のビジョンを語られることがあります。
ところが、一般社員にはもとより、
管理職にも届いていないと感じられることがあります。
そして、『社員の動きがよくない』と感じられたり、
社員から『社長が言っていました・・・』といった発言が、
聞かれたりします。
そんな状況になってしまうのは、
いくつかの原因があると考えられますが、
一つはコミュニケーションが正確にとれていないことが、
考えられます。
組織のビジョンなどはこれから目指す方向性であり、
少なからず変化を求めることになります。
『変化を求める』ということは、
『現状ではダメである』というメッセージを多分に含んでいます。
メッセージを送る方は、未来目線であるだけで、
そんなことは感じていないかもしれませんが、
聞き手は暗に『現状を否定された』と感じてしまう可能性があるということです。
こう感じてしまうと、
『これまで一生懸命会社に貢献してきたではないか』
『いままでそれなりにやってきたではないか』
『言っていることはわかるけど、いまやっていることはダメだってこと?』
と感じてしまうのも想像にかたくありません。
そのような心理状態に伴って、
行動が制限されてしまっていることが考えられます。
内容を理解していないのではなく、
これまでを評価されていないという感情の問題なのです。
では、解決策はあるのでしょうか?
ひとつは、これからのビジョンを伝えるだけではなく、
これまでをきちんと評価して、伝えることが必要でしょう。
経営(者)層、管理職、一般社員がともに、
これまでを振り返り、共有する時間を持つことが、
必要ではいでしょうか。